「おやすみプンプン」とは、浅野いにお先生による日常系青年漫画。
2007年より週刊ヤングサンデー、その後2008年から2013年までビッグコミックスピリッツで連載。全13巻で完結済み。
- 愛子ちゃんの性格や生い立ち。
- 愛子ちゃんとプンプンの馴れ初め。
- 愛子ちゃんがかわいそうと言われる理由。
本記事では、おやすみプンプンで登場する「田中愛子」について解説していきます。
愛子ちゃんは、プンプンの運命の相手であり物語の中心人物。毒親のせいで闇を抱えてしまい、悲しい結末を迎える一人。
愛子ちゃんはどんな人?|性格や家族構成を解説
おやすみプンプン 1巻から引用 浅野いにお / 小学館
① 愛子ちゃんは依存体質な性格
田中愛子の初登場は、第1話。プンプンのクラスに練馬区から転校してきた少女。
プンプンは、愛子ちゃんに一目惚れしてしまう。
プンプンに告白され次第に仲良くなっていくが、言動に違和感があった。
「プンプンはあたしのことが好きだもんね?」「あたしを裏切ったら殺すから。」
愛情を強要しがちな傾向、ウソを極端に嫌う傾向があり、どことなく依存体質なことが序盤からわかる。
② 愛子ちゃんの見た目
見た目はかわいらしい普通の女性である。
幼少期は前歯が1本無いが、これは永久歯が生えていないだけと思われる。
虐待によって折れてしまったのかと思ったが、大人になるとちゃんと生え揃っていました。
③ 愛子ちゃんの闇は母親
愛子ちゃんは幼少期に両親が離婚し、母親と二人で暮らしています。
母親は「コスモさん健康センター」という宗教団体の信者。
愛子ちゃんは、学校が休みの日には布教活動に付き合わされている。その内容は、1本五千円のパワー水などを販売することだった。
さらに、彼女は日常的に虐待を受けており、体にはアザが多数ある。
母親が明らかな毒親だった。
つまり、愛子ちゃんの闇は、母親が原因。
そのため、プンプンへの依存は、愛情や自分の居場所を求めるものであり、現実から逃げるためだった。
極限の生存戦略と言えるでしょう。
愛子ちゃんの人生|かわいそうな生い立ちを解説
① 愛子ちゃんの小学生時代
先述したが、愛子ちゃんの母親は宗教狂い。
その影響で、愛子ちゃんは転校前の学校で「変な家族」と見なされ、孤独を感じていた。
そして、日常的な虐待を受けていたことから、母親を疎ましく思っており、誰も知らないどこか遠くに逃げ出すことを願っていた。
それが、親戚のおじさんがいる鹿児島だったのです。
プンプンに宗教のことを知られてしまった事で絶望するが、「プンプンが偏見で見なかったこと」「二人で鹿児島に行く約束をすること」で心が救われる。
しかし、プンプンは鹿児島に行く約束を守れなかった。
これが、ストーリーの核、プンプンへの呪いとなり、大人になるまで囚われてしまう。
② 愛子ちゃんのその後
プンプンに裏切られたと感じた愛子ちゃんは、それ以降プンプンと疎遠になってしまう。
しかし、高校卒業後、偶然プンプンと再会する。
その時の愛子ちゃんは、母親の介護をしながら生計を立てていた。
母親は、以前からの義兄に金を無心した上に、腰を悪くして動けなくなっていた。
経済的にも困窮し、愛子ちゃんが義兄の工場で低賃金の仕事を余儀なくされる。
愛子ちゃんを犠牲にして、母親は宗教活動に没頭しながら、虐待行為を繰り返していました。
まさに地獄のような日々を送っていたのです。
ちなみに、物語終盤でわかるのですが、母親の腰が悪くて歩けないのはおそらくウソ。(立ち上がっているシーンがあったため。)
毒親のせいで、人生を狂わされてしまった。かわいそうな生い立ちなのです。
愛子ちゃんの最後|かわいそうな結末を解説・考察
① 愛子ちゃんは自殺してしまう
愛子ちゃんは、母親から解放されるために、プンプンとの同棲を決意する。
二人で愛子の母親を説得しようと試みるものの、母親が発狂して襲いかかります。
事態は急転し、愛子は母親を刺し殺してしまう。
その後、プンプンと共に逃亡生活を送るが、愛子は首をつって自殺してしまう。
心を直接えぐられるような結末を迎えます。
かわいそうで読んでいて本当に辛かった。
② 愛子ちゃんが死亡した理由とは?
愛子が自殺した理由は、本編では明かされていません。
色々考えられますが、わたしは2つある思う。
一番幸せな時に死にたかったから
中学生時代に語っていたセリフに以下のようなものがある。
たった一人でいいから、頭のてっぺんからつま先まで1ミリの間違いもないくらい……
完全にわかり合いたい。
その人と二人きりになれるなら、他には何もいらない。
もし、その夢がかなうなら、あたしはその瞬間に死んでもいい。
おやすみプンプン 4巻 P141~142から引用
子供の頃、愛子は流れ星を見て、プンプンとの両想いを願った。
そして、二人が約束した場所で手を取り合い、本当の意味で両思いになれた。
愛子にとって、すべての夢が叶ったその時が、一番幸せな状態だったから自殺したんだと思います。
プンプンを守るため
プンプンは、愛子ちゃんの罪を全て被ろうとしていた。
また、愛子ちゃんが逮捕されて本当のことを話ても、その結果は変わらなかったでしょう。
だから、愛子は全ての罪を被って自殺し、プンプンを守ろうとしたのだと考えられます。
③ 愛子ちゃんがパンツを咥えていた理由とは?
愛子は自身の下着を口に咥えた状態で、首を吊っていた。
この理由は、猿轡(さるぐつわ)としての描写であり、声をたてないようにするためだと思われる。
「プンプンには気づかれてはいけない。」それくらい覚悟のある行動だったことがわかる。
愛子ちゃんがかわいそうな理由
- 母親が宗教狂い。
- 母親から虐待されている。
- 母親のせいで低賃金で働かされている。
- 母親に刺される。
- 慕ってくれる仲間がいない。
- 結末が自殺。
愛子が悲しい結末を迎えてしまったのは、ほぼ間違いなく母親に原因がある。
愛子には、メンヘラな行動や言動が見られるが、これは自身を守るための生存本能であり、生い立ちが原因でそうしてしまったと言わざるを得ない。
簡単な話、毒親から離れるチャンスはあった、けど逃げられなかった。幼少期の虐待で支配されてしまったからである。理不尽すぎる。
愛子は、ただ普通になれれば良かった。
映画を見たり、お茶をしたりするような普通の生活を望んでいました。プンプンとの平穏な暮らしで、ただ静かに幸せになることが彼女の願いでした。
なのに気づいたら歯車が狂い、救いのない結末を迎えている。
「こんな結末しかなかったのか」と、正直病みますよね。
幼少期の愛子とプンプンは、キラキラとした希望があり、二人が多少なりとも幸せになる形が想像できました。
初めて見たときの衝撃は今でも忘れられません。
心の奥深くまでえぐられるような感覚・喪失感で、しばらく病んだ記憶があります。
愛子ちゃんの設定|プンプンとの関係を考察
『おやすみプンプン』では、7月7日の七夕が運命の日として描かれています。
この日は、幼い頃のプンプンと愛子が、一緒に星空(天の川)を見た思い出の日であるからです。
また、作中では、愛子とプンプンに織姫と彦星の役割が与えられています。
愛子が芸能活動をしていた時の芸名「織原愛子」や、鹿児島の親戚の苗字が「織原」であることから、織姫としての役割が考えられている。
また、愛子は母親と同じ苗字である「田中」ではなく、自身の幸福を「織原愛子」として求めていたことが感じられる。
一方で、プンプンと彦星の関係性は、愛子の母親を殺害したシーンで明らかになります。
この時、プンプンは角の生えた姿になっており、牽牛(彦星)であることを象徴しています。(悪魔に魂を売ったから角が生えたと思ったが、牛が正しそう。)
愛子との共依存関係が始まり、二人の運命が新たに動き出したことを暗示していると解釈できます。
「おやすみプンプン 愛子ちゃん」の口コミ・感想
おやすみプンプン読み終えた。 感情がぐちゃぐちゃだわ。。 何も綺麗に収まってないのが人生って感じする。 愛子ちゃん、、、
引用:X
『おやすみプンプン』、プンプンも愛子ちゃんも相互承認を求めていた。けれどお互い相手に期待するけど少しズレてて、承認できない。2人を繋げるのは「お前らとは違う」と普通のひとたちを否定する価値観。そして閉じこもる。相互承認できない2人のふたりだけの世界になっちまってたのが哀しいんだよな
引用:X
『おやすみプンプン』、愛子ちゃんは爪を噛みながら「普通でいいの普通で」と言う。なのに非日常を求めてしまう。プンプンを求めてしまう、日常よりも非日常へ、退屈の反対は事件。終わらない日常を捨て、退屈な毎日を捨て、好きな人との特別な毎日を求めてしまう。そういう物語だから読んでて惹かれる
引用:X
人生2回目のおやすみプンプン辛い 子持ちになったからか、親に宗教勧誘で連れ回される愛子ちゃんが不憫過ぎ&チラッと見えた暴力の痕傷&その後の運命も知ってるせいで1巻目から泣いた どの子の家庭環境もグチャッとしてて辛い幸せとのコントラスト あと一コマ一コマのこだわりユーモア皮肉がすごいいい
引用:X
おやすみプンプン、愛子ちゃんとプンプンの個人の描写はフィクションかもだけどプンプンの家族の話とか愛子ちゃんのお母さんの話とかは実際にある話だから刺さる人がいるんだろうなって
引用:X
おやすみプンプン、期間中に読み返したんだけど愛子ちゃんの人生…愛子ちゃんの人生はサァ…一生搾取されて終わってサァ…結局愛子ちゃんが一番幸せな時に終わらせたがってて実際終わらせてしまったけど他人から見たら地獄の真っ最中でサァ…ってあまりにも愛子ちゃんを幸せにしたすぎて気が狂った
引用:X
おやすみプンプンをお得に読む方法
浅野いにお先生の作品には、「おやすみプンプン」以外にも、「ソラニン」「うみべの女の子」「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」など作品があります。
プンプンが好きなら「虹ヶ原ホログラフ」あたりもおすすめです。
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本記事のまとめ|おやすみプンプン愛子ちゃんを解説
本記事では、愛子ちゃんの解説をしましたが、最後に心に引っかかる点がある。
それは、愛子ちゃんの境遇が厳しすぎること。
プンプンには仲間がいたり、幼少期に絶望的な運命を辿っていたわけではない。愛子を失っても依存できる居場所が残っています。
一方で、愛子ちゃんは避けられない運命を抱え、頼れる仲間もおらず、プンプンを失えば彼女には何も残らないのです。
この作品はプンプンの成長物語だからしょうがないですが、フィクションだとわかっていても愛子ちゃん不遇すぎません?
結局は、育った環境や親ガチャが運命を変えてしまう悲しい末路。
現実では他人の不幸は蜜の味なんて言いますが、愛子ちゃんには自然と同情し幸福を願ってしまう。幸せだった世界線も見てみたい…。
読んでいて感情的になってしまうのは、浅野いにお先生が天才だからとしか言えない。